近年、建設業界全体ではコンプライアンス遵守が加速しています。
監理技術者の配置は建設業法に規定されている一定規模の工事を行う特定建設業者の義務です。
監理技術者として現場に配置されるためには監理技術者証の交付を受けていることが必要です。
本記事では監理技術者証の申請について解説します。
目次
監理技術者とは、元請負の特定建設業者がその請け負った工事を施工するために締結した下請契約の請負代金総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合、その工事現場に配置される、「施工の技術上の管理をつかさどる技術者」のことをいいます。
ここでいう「元請負の特定建設業者」とは発注者から直接請け負った者をさします。
また下請契約の請負代金とは一次下請への発注総額のことです。
監理技術者は、建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質確保その他の技術上の管理及び施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならず、一定の知識や経験を有している必要があります。
例えば以下のような職務があります。
■請け負った建設工事全体の統括的施工管理
■請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成
■下請の作成した施工要領書等の確認
■設計変更等に応じた施工計画書等の修正
■請け負った建設工事全体の進捗確認
■下請間の工程調整
■工程会議等の開催、参加、巡回
■請け負った建設工事全体に関する下請からの施工報告の確認、必要に応じた立ち会い確認、事後確認等の実地の確認
■請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
■現場作業に係る実地の総括的技術指導
この監理技術者ですが、資格や経験があれば誰でもなれるわけではありません。
まず、監理技術者は、工事を請け負った企業との間で直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です。
そのため、工事の間だけ短期で技術者を雇ったり、他社から派遣してもらうことはできません。
また、監理技術者は、「監理技術者資格者証」の交付を受けており、監理技術者講習を受けている者の中から選任しなければなりません。
※講習修了者が資格者証裏面に修了履歴ラベルを貼付または、資格者証更新時等に修了情報を確認出来た場合は、監理技術者資格者証の裏面に、修了履歴が印字されます。
指定建設業において、監理技術者となるには、一級国家資格等の保有が必要です。
指定建設業とは、土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種のことをいいます。
指定建設業以外の22業種に関しては、一定の要件を満たした実務経験を有する方も監理技術者となることができます。
実務経験により監理技術者資格証を申請するための必要期間は、学歴や資格によって変わります。
この実務経験の証明は書面にて行わなければなりません。
イの該当者となる国家資格は以下の資格です。
該当する資格や学歴がない場合、10年以上の実務経験で申請することになります。
この10年以上には2年以上の「指導監督的実務経験」が含まれている必要があります。
指導監督的実務経験の対象となる工事は、以下の要件を満たす必要があります。
【元請・下請の区分】
元請工事であること
【請負代金の額について】
1件の工事の請負代金が4,500万円以上であること
※工期が昭和59年10月1日~平成6年12月27日までは、請負代金の額が3000万円以上
【経験内容について】
工事全体技術面を総合的に指導監督を行った経験であること
※監理技術者補佐、主任技術者、専任補助者、現場監督、現場責任者、現場所長、工事主任など
指導監督的実務経験の工事については、工事内容と工事における申請者の職名の確認が行われます。
確認要件を満たす証拠書類の提出が必要です。この証拠書類と実務経験証明書は突合して審査されます。
【工事内容の確認】
以下すべての項目を確認できることが必要です。
工事名、発注者及び受注者、建設工事の種類、請負代金、工期
【工事における申請者の職名(立場)の確認】
現場監督や主任技術者など、工事全体の技術面を総合的に指導監督する立場と確認できることが必要です。
監理技術者証の交付申請は一般財団法人建設業技術者センターに行います。
一般財団法人建設業技術者センターで審査された後、審査基準の適合が認められた場合に、監理技術者証が交付されます。
申請には7,600円の交付手数料が必要です。
冒頭でも述べた通り、近年、建設業界全体ではコンプライアンス遵守が加速しています。
監理技術者の配置は建設業法に規定されている特定建設業者の義務です。
違反することのないように日ごろから技術者を確保しておくことが重要です。
弊所でも監理技術者証の交付申請の代行を行っております。
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