不動産ビジネスは日本国内外を問わず高い注目を集める分野です。
特に大阪エリアはインバウンドや再開発などの影響で、外国籍の方が経営に携わる不動産会社も増加傾向にあります。
しかし、宅地建物取引業(以下、宅建業)の免許申請においては、外国籍の役員が関与する会社ならではの注意点や制約が存在します。
この記事では、外国籍の役員がいる会社が大阪で宅建業免許を取得するための具体的な手続きやポイントについて詳しく解説します。
目次
宅建業とは、報酬を得て不動産の売買・交換・賃貸の仲介などを行う事業を指します。
※表の通り、自己の物件を貸し出す行為は宅建業には該当しません。
宅建業を行うには、国土交通大臣または都道府県知事の宅地建物取引業免許を取得する必要があります。
これらは、事務所を設置する場所により区分されます。
大阪府内でのみ営業する場合は、大阪府知事免許を申請することになります。
例えば大阪府内に本店を置き、兵庫県内に支店を設ける場合は「大臣免許」となります。
よく勘違いされますが、大阪府知事免許であっても全国どの地域においても宅建業を営むことが可能です。
営業所を置く場所で区分しましょう。
宅建業免許を取得せずに営業すると「無免許営業」として刑事罰や営業停止処分の対象になりますので、事業開始前に必ず申請・取得が必要です。
無免許営業の禁止規定は、宅建業法第12条において定められています。
①免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。
②免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもって、広告をしてはならない。
宅建業の免許を取得せずに営業を行った場合、以下の罰則が科される可能性があります。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方
過去には、無免許で不動産取引を行った者や、それを幇助した者が罰金刑を受けた事例が多数あります。
また、大阪府では、無免許営業に対する行政処分が行われており、処分内容が公表されています。
無免許者が宅建業者から名義を借りて不動産取引を行い、その利益を分配する契約を結んだ事案で、最高裁はこの契約を「公序良俗に反し無効」と判断しました。
この判決は、名義貸しと利益分配の合意が一体不可分であり、宅建業法の趣旨に反する行為であると明確に示したものです。
宅建業の免許を持たない者が土地の転売を行い、その取引を宅建業者が媒介した事案で、名古屋高裁は宅建業者の代表者に対して無免許営業の幇助罪を認定し、罰金刑を科しました。
この判決は、無免許営業の媒介行為も刑事責任を問われることを示しています。
個人投資家が宅建業の免許を持たずに、約2年間で宅地約2,700平方メートルを6回にわたり計2億5,000万円で売却した事案で、無免許営業として検挙されました。
このように、反復継続して不動産取引を行う場合、宅建業法違反となる可能性が高まります。
無免許での営業は、厳しい罰則の対象となり、事業の継続に重大な支障をきたす可能性があります。
申請手続きの複雑さや法令遵守の確保のためにも、行政書士などの専門家に依頼することを検討しましょう◎
外国籍の方が会社役員として登記されている場合、「日本国内において行為能力・権利能力を有しているか」が審査されます。
これには、日本国内での住所の有無などが関わってきます。
また、代表取締役であるのか、非常勤役員であるのか、宅建士の選任などによっても免許要件を満たすかどうか異なります。
また、特有の書類が必要となり、日本人役員とは異なる対応が求められます。
そのため、申請は一般的なケースよりも煩雑です。
また、外国籍の方であっても、暴力団関係者でないこと、破産歴や前科の有無、法令違反の有無などは日本人同様に厳格に確認されますので注意しましょう。
無事に書類一式が揃い、無事に申請が受付されると、そこから正式な審査がはじまります。
審査にかかる標準処理期間は大阪府の場合、受付後おおむね5週間とされています。
審査が終わると免許通知がハガキで送られてきます。
ここで注意しなくてはいけない点は、免許通知のハガキが来てもすぐには営業できません。
免許後営業保証金について自己で供託するか、保証協会に加入するかのいずれかを済ませて届出なければなりません。
営業保証金は1000万円と高額であることから、多くの方が保証協会への加入を選択します。
保証協会には、全国宅地建物取引業保証協会や全日本不動産保証協会があります。
こちらの加入手続きも当事務所でサポートしておりますので、ご安心ください。
宅建業の免許申請で必要になる書類は、形式不備や添付漏れにより、再提出や却下となるケースが少なくありません。
行政書士に依頼すれば、申請書類の適正性を担保でき、スムーズな申請が期待できます。
また、事前に役員構成や使用目的、事業の実態などをヒアリングし、免許取得の可能性を事前診断することで、リスクを未然に防ぐことができます。
何よりも事業の準備に専念しながら、手間のかかる行政手続きはすべて任せることが可能です。
役所とのやり取りや補正対応も代行で行えるため、安心してお任せいただけます。
外国に住民票がある役員のいる会社が宅建業免許を取得する際には、日本の法律や行政手続きに基づく審査が行われます。
「自分たちで何とかできるだろう」と進めてしまうと、思わぬ落とし穴に陥ることも・・・
当事務所では、事前のリスク診断、必要書類の準備、申請の代行まで一貫したサポートを行っております。
外国籍の方の申請サポートも多数実績がございます。