お客様より公共工事を受注したいというご相談をお受けします。
経審を受けるように取引先から言われるケースもあるようです。
しかし、経営事項審査(経審)を申請するための準備書類や作成書類は膨大で、何から手をつければいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?
本記事は経営事項審査(経審)の流れをざっくりと掴めるようにまとめております。
ぜひ最後までご覧くださいませ。
目次
経営事項審査(経審)とは、国、地方公共団体などが発注する公共事業を直接請け負おうとする場合(公共工事の元請になろうとする建設業者)は、必ず受けておかなくてはならないとされている審査です。
公共事業の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。
公共事業の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。
この資格審査にあたっては、欠格要件に該当しないかを審査した上で、「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化(総合点数)して、格付けが行われています。
このうち「客観的事項」にあたる審査が「経営事項審査(経審)」です。
経審は以下の4項目について審査されます。
①経営状況
②経営規模
③技術力
④社会性
経営事項審査を受けなければ、直接請け負うことができないとされる工事(公共工事)とは、以下の発注者が発注する施設又は工作物に関する建設工事で、建設工事1件の請負代金額が、500万円以上(建築一式工事の場合は、1500万円以上)のものとなります。
①国
②地方公共団体
③法人税別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く)
④上記に準ずるものとして国土交通省令で定める法人
関西国際空港株式会社、公害健康被害補償予防協会、首都高速道路株式会社、消防団員等公務災害補償等共済基金、地方競馬全国協会、東京地下鉄株式会社、 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法 (昭和六十一年法律第四十五号)第二条第一項 に規定する東京湾横断道路建設事業者、独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人勤労者退職金共済機構、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人日本原子力研究開発機構、独立行政法人農業者年金基金、独立行政法人理化学研究所、中日本高速道路株式会社、成田国際空港株式会社、西日本高速道路株式会社、日本環境安全事業株式会社、日本小型自動車振興会、日本自転車振興会、日本私立学校振興・共済事業団、日本たばこ産業株式会社、 日本電信電話株式会社等に関する法律 (昭和五十九年法律第八十五号)第一条第一項 に規定する会社及び同条第二項 に規定する地域会社、 農林漁業団体職員共済組合、阪神高速道路株式会社、東日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社並びに、 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律 (昭和六十一年法律第八十八号)第一条第三項 に規定する会社とする。
①堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障その他施設又は工作物の破壊、埋没等で、これを放置するときは、著しい被害を生ずるおそれのあるものによつて必要を生じた応急の建設工事
②上記のほか、経営事項審査を受けていない建設業者が発注者から直接請け負うことについて緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事
経営事項審査では、原則として申請をする日の直前の事業年度終了日(直前の決算日)が審査基準日となります。
審査基準日は直前の事業年度の終了日であるため、申請時に既に新しい審査基準日を迎えている場合、従前の審査基準日では審査を受けることはできません。
経営事項審査の有効期間は、結果通知書を受領した後、その経営事項審査の審査基準日から1年7ヶ月です。
この「1年7ヶ月」の期間は、審査基準日から起算されるものであり、結果通知書を受け取ってからの期間ではないので注意しましょう。
公共工事の受注とは発注者と契約を締結することをいいます。
公共工事の受注には、契約締結日の1年7か月前以降の決算日を基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書の交付を受けていることが必要です。
これは、公共工事発注者の入札参加資格の有無とは関係なく、公共工事の受注そのものに対し義務付けられるものです。
そのため、毎年公共工事を直接請け負おうとする場合には、毎年決算後速やかに経営事項審査を受けて、有効期間が切れ目なく継続する必要があります。
経営事項審査の結果通知書は、申請書を受理し、補正が解消された日から土日・祝日を含む 22 日程度で発送することとされています。
これは年末年始や大型連休を除きますので注意しましょう。
結果通知書が届くまでの時間的余裕を十分見込んだ上で、早めに申請する方がよいでしょう。
毎年、決算終了後4ヶ月以内を目安に経営事項審査を申請する必要があります。
申請するにあたり、事前に建設業許可「決算変更届出書」の提出を行う必要があります。
経営事項審査は、建設業法第27条の23第2項に掲げる事項について、数値による評価をして行われます。
①経営状況
②経営規模等
経営規模等とは、「経営状況(Y)」以外の客観的事項を言います。
「経営規模(X)」、「技術力(Z)」、「社会性等(W)」で構成されています。
経営規模等に係る評価を経営規模等評価と呼びます。
国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があった場合には、「経営状況」に関する分析(経営状況分析)の結果に係る数値と経営規模等評価の結果に係る数値を用いて、客観的事項の全体についての評定結果に係る数値を通知しなければならないとされています。この客観的事項全体に係る数値を「総合評定値(P)」と言います。
審査項目や総合評定値の算出方法は、次のとおりです。
総合評定値(P)=(X1)×0.25+(X2)×0.15+(Y)×0.20+(Z)×0.25+(W)×0.15
審査項目
・年間平均完成工事高
審査項目
・ 自己資本額
・ 平均利益額
審査項目
・ 技術職員数
・ 元請完成工事高
審査項目
・建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
①雇用保険の加入状況
②健康保険の加入状況
③厚生年金保険の加入状況
④建退共の加入状況
⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入
⑥法定外労災制度の加入状況
⑦若齢技術者及び技能者の育成及び確保の状況
⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
⑨ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況
⑩建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措
置の実施状況
・建設業の営業年数
・防災活動への貢献の状況
・法令順守の状況
・建設業の経理の状況
・研究開発の状況
・建設機械の保有状況
・国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況
審査項目
・ 純支払利息比率
・ 負債回転期間
・ 売上高経常利益率
・ 総資本売上総利益率
・ 自己資本対固定資産比率
・ 自己資本比率
・ 営業キャッシュフロー
・ 利益剰余金
国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関は以下があります。
経営状況分析の申請の時期及び方法等はそれぞれの経営状況分析機関により異なります。
申請は以下の順番で行います。
①決算変更届の提出(大阪府へ届出)
②経営状況分析の申請(登録経営状況分析機関へ申請)
③経営状況分析結果通知書の受領
④経営事項審査の受審日の予約
⑤経営事項審査の申請
⑥経営規模等評価結果・総合評定値通知書の受領
経営事項審査申請には、業種数に応じた以下の手数料が必要です。
1業種増すごとに 2,500 円(2,300 円+200 円)加算されます。
今回は経営事項審査についてまとめました。
申請書類などは長くなりますので別の記事で解説したいと思います。
当事務所は女性行政書士が切り盛りする行政書士事務所です。
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事務所は大阪ですが、他府県であっても出張する準備がございます。
建設業許可の取得でお困りの際はお気軽にお問合せくださいませ。
経営状況分析申請:30,000円(税抜き)
経営規模等評価申請・総合評定値請求申請:54,000円(税抜き)
決算変更届:30,000円(税抜き)
入札参加資格申請(指名参加願い):40,000円(税抜き)