建築物は、安全であることが最も基本的な使命であり、そのための設計や工事監理は、極めて重要な仕事です。
これらの仕事は建築士でなければしてはならないとされています。
このことから、建築士には、法律上特別の地位が与えられていることが分かります。
そして、建築士又はこれらの者を使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て、一定の業務を業として行う場合は、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所を定めて、登録を受けなければなりません。
本記事では大阪府で建築士事務所の登録をする手続きについて解説しております。
是非最後までお読みくださいませ。
目次
まずはじめに、建築士事務所の業務は主に以下の2つです。
(1)建築物の設計及び工事監理
(2)建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定、建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理等
他人の求めに応じ報酬を得て、次の6項の業務を業として行う場合は、「建築士事務所登録」をしなければなりません。
登録しないで行った場合、無登録営業となり法に違反します。
①建築物の設計
その者の責任において設計図書を作成すること
②建築物の工事監理
その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること
③建築工事契約に関する事務
工事請負契約の内容を十分に調査・検討する必要があり、それにかかる業務
④建築工事の指導監督
工事監理、建設業法上の施工管理又はいわゆる現場監督でなく、建築工事について工事施工者に即した立場でなく、建築主の依頼により第三者的立場から指導監督すること
⑤建築物に関する調査又は鑑定
建築物の構造、高さ、面積等の測定等通常建築士としての知識技能を必要とするような全ての調査又は鑑定をいう。(建築基準法第12条の定期報告の調査・検査等がこれにあたる)
土地家屋調査士法等の他の法律において特別の資格の登録等が定められている場合を除きます。
⑥建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理
建築基準法第6条第1項の確認申請等の代理
★建設業者が、請負の一環として、建築物の設計・工事監理等の業務を行う場合、建設業の許可のほかに、建築士事務所の登録が必要です。
★支店や営業所等を設け、本店とは独立して設計等の業務を行う場合は、それぞれ建築士事務所の登録を受けなければなりません。
建築士事務所の開設者は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括する 専任の建築士(管理建築士といいます。)を置かなければなりません。
管理建築士は、一事務所について一人に限られます。
管理建築士が宅地建物取引主任者や建設業法における専任技術者など他の業務を併せて行っている場合は、実質的に建築士法第 24条第3項に規定された管理が十分に行われるかどうかによって判断されます。
管理建築士は、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習の課程を修了した者がなることができます。
管理建築士は、その建築士事務所の業務に係る次に掲げる技術的事項を総括しなければなりません。
・ 受託可能な業務の量及び難易並びに業務の内容に応じて必要となる期間の設定
・ 受託しようとする業務を担当させる建築士その他の技術者の選定及び配置
・ 他の建築士事務所との提携及び提携先に行わせる業務の範囲の案の作成
・ 所属建築士その他の技術者の監督及びその業務遂行の適正の確保
以下のいずれかに該当する者は登録を受けられません。
(1) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
(2) 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(3) 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられその刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(4) 建築士法第 9条第1項第4号又は第10条第1項の規定により一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者
(5) 建築士法第 26条第1項又は第2項の規定により建築士事務所について登録を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内にその法人の役員であった者でその取消しの日から起算して5年を経過しないもの)
(6) 建築士法第 26条第2項の規定により建築士事務所の閉鎖の命令を受け、その閉鎖の期間が経過しない者(当該命令を受けた者が法人である場合においては、当該命令の原因となった事実があった日以前1年内にその法人の役員であった者でその閉鎖の期間が経過しないもの)
(7) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者((9)において「暴力団員等」という。)
(8) 精神の機能の障害により建築士事務所の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
(9) 暴力団員等がその事業活動を支配する者
(10) 建築士事務所について建築士法第24条第1項及び第2項に規定する要件を欠く者
(11) 禁錮以上の刑に処せられた者((2)に該当する者を除く。)
(12) 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられた者((3)に該当する者を除く。)
法人が建築事務所の登録申請を行う場合、定款中の業務内容に「建築物の設計、工事監理等」の項目を掲げなければなりません。
建築士事務所の登録を受けようとする場合、登録申請書と添付書類を提出します。
登録申請書には、付近見取図、 所属建築士名簿、役員名簿等を記入します。
① 建築士事務所が行った業務の概要を記載した書類
② 登録申請者の略歴を記載した書類
③ 管理建築士の略歴を記載した書類
④ 管理建築士が受講した管理建築士講習の修了証の写し
⑤ 登録申請者(役員を含む)が、法第23条の4第1項&第2項の各号に該当しない旨の誓約書
⑥ 定款及び登記事項証明書 (法人のみ)
⑦ その他大阪府の建築士事務所登録に際して運用上定めた書類
管理建築士の専任状況を確認するための3点書類を添付します。
代表者が兼任の場合は不要です。
①住民票(写し)
②賃金台帳又は源泉徴収簿(直近3ヶ月)※社名の入ったもの(写し)
→新規雇用の場合は雇用契約書
③事業所名記載の健康保険証又は雇用保険被保険者証・雇用保険資格取得等確認通知書のいずれか(写し)
→新規雇用の場合は、社会保険の資格取得届の控え
出向社員は、3者出向協定書(写し)又は2者出向協定書(写し)と 辞令(写し)が必要です。
開設事務所の所在と使用目的の確認書類を添付します。
(1)自己(申請者)所有の場合 ≪次の書類のうち1点≫
①建物の登記簿謄本(写し)
②固定資産(建物)評価証明書(写し)
③家屋売買契約書又は権利書(写し)
(2)賃貸等の場合
①賃貸契約書(公営・公団住宅は認められません)
②使用目的が住宅と特約の場合、事務所としての使用承諾書が別途必要です。
(3)持ち主と賃貸契約を交わしていない場合 ≪次の2点書類≫
①持ち主の事務所としての使用承諾書(写し)
②持ち主の所有を証明する、前記(1)の自己所有の書類のうち1点。
大阪府の場合、一般社団法人大阪府建築士事務所協会が窓口です。
登録手数料は、一級の場合:18,000円、二級・木造 の場合:12,000円です。
建築士事務所登録の手続きについて解説いたしました。
当事務所でも建築士事務所の登録申請代行を行っております。
事務所は大阪ですが、他府県であっても出張する準備がございます。
許可の取得でお困りの際は、お気軽にお問合せくださいませ。