建設業法違反による罰則と監督処分について大阪の行政書士が解説!

建設業法は、「2024年の法改正」及び「2025年12月の全面施行」によって、罰則や監督処分のルールが劇的に厳しくなっています。
よくある違反をピックアップ
著しく短い工期(工期ダンピング)の禁止
【元請業者さんへ】
下請業者に対して通常必要とされる期間より著しく短い工期を強要することは、従来から建設業法で禁止されています。工期変更の協議に応じないなど悪質なケースでは、勧告・氏名公表が行われる可能性があります。なお、別途建設業法28条の監督処分(指示処分・営業停止処分)の対象となる場合もあります。
【下請業者さんへ】
2025年12月の改正で、受注者側が自ら短工期を受け入れることも新たに禁止されました。「受注を切られたくないから無理な工期を飲んだ」では済まなくなっています。違反すれば発注者側と同様に、勧告・氏名公表の対象となります。
不当に低い請負代金(原価割れ)の禁止
【元請業者さんへ】
下請業者から提出された見積書(労務費・資材費等の内訳)を無視して、原価を下回る金額での契約を強要することは禁止されています。違反した場合は監督処分の対象となります。
【下請業者さんへ】
2025年12月の改正で、受注者自身が原価割れで契約することも新たに禁止されました。「元請に言われたから仕方なく赤字で受けた」という場合でも、受注した側も処分対象になり得ます。適正な見積りを提示し、毅然と交渉することが自社を守ることにつながります。
建設業法違反による罰則
近年、建設業者のコンプライアンス遵守(法令を遵守し、企業倫理や社会的責任を重視した事業活動を行うこと)がより一層求められています。
建設業法に違反すると監督処分や罰則を受けることになります。
今回は罰則について詳しくまとめていきます。
罰則は違反行為者だけではなく、違反行為者を雇っている法人や個人事業主も対象となります。(両罰規定)
第53条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する
一 第47条 一億円以下の罰金刑
二 第50条又は前条 各本条の罰金刑。
罰則を受けると、欠格要件に該当し、建設業許可の取消しを受けることもあります。
また、取消しから5年経過しないと許可を取得できないなど大変重い処分ですので、注意が必要です。
主な罰則
建設業法の根拠条文と合わせて確認していきます。
建設業法 第47条
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
罪を犯した者には、情状により、拘禁刑及び罰金を併科することができる。
- 建設業許可を受けないで建設業を営んだ場合(軽微な工事を除く)
- 特定建設業許可の規定に違反して下請契約を締結した者
- 営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者
- 営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者
- 虚偽又は不正の事実に基づいて許可を受けた者
第50条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
- 建設業許可申請書に虚偽の記載をしてこれを提出した者
- 変更等の届出を提出しなかった者
- 変更等の届出に虚偽の記載をして提出した者
- 経営状況分析申請書又は経営規模等評価申請書に虚偽の記載をしてこれを提出した者
第五十二条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、100万円以下の罰金に処する。
- 工事現場に主任技術者又は監理技術者を置かなかったとき
- 土木一式工事又は建築一式工事を施工する場合において、専門技術者の配置等を行わなかったとき
- 許可取消処分や営業停止処分を受けたにも関わらず、2週間以内に注文者に通知しなかったとき
- 登録経営状況分析機関から報告又は資料を求められ、報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき。
- 許可行政庁から報告を求められ、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき
- 許可行政庁から検査を求められ、検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき
- 建設資材製造業者等に対する命令等に違反したとき
第五十五条
次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の過料に処する。
- 廃業等の届出を怠った者
- 正当な理由なく調停の出頭要求に応じなかった者
- 店舗や工事現場に建設業の標識(許可票)を掲げない者
- 無許可業者が建設業者であると誤認される表示をした者
- 帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿若しくは図書を保存しなかつた者
建設業法違反による監督処分の種類
不正行為等に対する監督処分の基準の趣旨
建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準の趣旨は以下の通り定められています。
本基準は、建設業者による不正行為等について、国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準を定めることにより、建設業者の行う不正行為等に厳正に対処し、もって建設業に対する国民の信頼確保と不正行為等の未然防止に寄与することを目的とする。
建設業法違反による監督処分には①指示処分、②営業停止処分、③許可取消し処分があります。
罰は①から③にかけて重くなります。
①指示処分
建設業法に違反すると、指示処分の対象となります。
法令違反を是正するために監督行政庁が行う命令のことです。
②営業停止処分
指示処分に従わないときは、営業停止処分の対象となります。
ただし、指示処分なしで直接営業停止処分となることもあります。
1年以内の期間で、監督行政庁が決定します。
③許可取消処分
不正手段で許可を受けたり、営業停止処分に違反して営業したりすると、許可取消処分の対象となります。
情状が特に重いと判断されると、指示処分や営業停止処分なしで直ちに許可取消となる場合もあります。
営業停止期間中は行えない行為
営業停止期間中、以下の行為は行えません。
- 新たな建設工事の請負契約の締結(仮契約等に基づく本契約の締結を含む。)
- 処分を受ける前に締結された請負契約の変更であって、工事の追加に係るもの(工事の施工上特に必要があると認められるものを除く。)
- 前2号及び営業停止期間満了後における新たな建設工事の請負契約の締結に関連する入札、見積り、交渉等
- 営業停止処分に地域限定が付されている場合にあっては、当該地域内における前各号の行為
- 営業停止処分に業種限定が付されている場合にあっては、当該業種に係る第 1 号から第3号までの行為
- 営業停止処分に公共工事又はそれ以外の工事に係る限定が付されている場合にあっては、当該公共工事又は当該それ以外の工事に係る第1号から第3号までの行為
営業停止期間中でも行える行為
以下の行為は営業停止期間中であっても行うことが可能です。
- 建設業の許可、経営事項審査、入札の参加資格審査の申請
- 処分を受ける前に締結された請負契約に基づく建設工事の施工
- 施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工
- アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工
- 災害時における緊急を要する建設工事の施工
- 請負代金等の請求、受領、支払い等
- 企業運営上必要な資金の借入れ等
不正行為の具体的な基準
不正行為には以下の事項が定めされています。
- 公衆危害
- 建設業者の業務に関する談合・贈賄等(刑法違反(公契約関係競売等妨害罪、談合罪、贈賄罪、詐欺罪)、補助金等適正化法違反、独占禁止法違反)
- 請負契約に関する不誠実な行為
- ①虚偽申請
- ②主任技術者等の不設置等
- ③粗雑工事等による重大な瑕疵
- ④施工体制台帳等の不作成
- 建設工事の施工等に関する他法令違反
- ①労働安全衛生法違反等(工事関係者事故等)
- ②建設工事の施工等に関する法令違反
- ―建築基準法違反等
- ―廃棄物処理法違反、労働基準法違反等
- ―特定商取引に関する法律違反
- ―賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律違反
- ③信用失墜行為等
- ―法人税法、消費税法等の税法違反
- ―暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反(第32条の3第7項の規定を除く。)等
- ④健康保険法違反、厚生年金保険法違反、雇用保険法違反
- ⑤一括下請負等
- ⑥主任技術者等の変更
- ⑦無許可業者等との下請契約
- ⑧履行確保法違反
出典:「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(最終改正 令和3年9月 30 日国不建第 273 号)
まとめ
今回は建設業法違反による主な罰則についてまとめました。
昨今、建設業界でもコンプライアンスについて厳しくなってきています。
法令順守を意識しながら、事業を継続していくことが重要です。
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