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雇用契約書とは?アルバイトを採用する前に知っておきたい基本のキ

「今日からよろしく!時給1,100円で週3日ね」

口頭でこんなやり取りをして、そのままアルバイトに入ってもらっている飲食店は、今でも少なくありません。しかし、この「口約束だけの雇用」は、思わぬトラブルの入口になることがあります。

なお、給与未払いや不当解雇といった労働問題が実際に発生した場合の対応は、社会保険労務士(社労士)の専門領域となります。当事務所では、事実に基づいた「書類の作成」に特化したサポートを行っています。問題が起きてから動くより、正しい書類を最初から用意しておくことが、何よりのリスク管理です。

この記事では、雇用契約書とは何か、なぜ必要なのか、何を書けばいいのかを、はじめて人を雇うオーナー様にもわかるよう、基本から丁寧に解説します。


目次

そもそも「雇用契約」って何?

アルバイトを採用するとき、オーナーと働く人の間には「雇用契約」が生まれます。

雇用契約とは、「あなたに働いてもらう代わりに、私はお金を払います」という約束のことです。難しく聞こえますが、「いつから・どこで・何をして・いくらもらうか」を取り決めること、それが雇用契約の本質です。

実は、この契約は口頭だけでも法律上は成立します。「じゃあ書類なんていらないじゃないか」と思われるかもしれませんが、そこに大きな落とし穴があります。


なぜ書面にしなければならないのか

口頭の約束は、あとから内容が変わります。

「確かに時給1,200円と言いました」「いや、1,100円のはずです」「週3日と聞いていたのに急にシフトを増やされた」「研修期間中は時給が下がると説明しましたよね?」

こうした「言った・言わない」のトラブルは、飲食店の現場でも日常的に起きています。書面があれば、双方が合意した内容が証拠として残るため、こうした争いをあらかじめ防ぐことができます。

また、法律の観点からも書面の交付は義務とされています。(例外あり、後ほど記述)
労働基準法第15条第1項により、使用者は労働契約の締結に際し、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。口頭だけで済ませていると、法令違反になる可能性があるのです。

さらに、明示された労働条件が事実と異なっていた場合には、労働者は労働基準法第15条第2項の規定により、即時に労働契約を解除することができます。つまり、口頭で伝えた条件と実態が違っていた場合、アルバイトスタッフは即日で辞めることができるのです。 mhlw


雇用契約を結ぶときの4つの基本原則

厚生労働省が定める労働契約法では、労働契約の締結や変更は、労使の対等の立場によること、就業の実態に応じて均衡を考慮すること、仕事と生活の調和に配慮すること、信義に従い誠実に行動し権利を濫用してはならないこと、という原則に基づいて行うことが必要とされています。

「オーナーが決めたことだからスタッフは従うべき」という一方的な考え方は、法律上通用しません。雇用契約はあくまで対等な立場で結ぶものという認識が大切です。


「雇用契約書」と「労働条件通知書」は何が違う?

ここで少し混乱しやすいポイントを整理しておきます。

労働条件通知書とは、会社が労働者に対して「あなたの労働条件はこうです」と一方的に知らせる書類です。労働基準法で交付が義務付けられており、サインや押印がなくても法的には成立します。渡さなければ法令違反です。

雇用契約書とは、会社と働く人の双方がサインや押印をして「この条件で合意しました」と確認し合う書類です。法律上の交付義務はありませんが、双方の合意を証明できるため、トラブル防止の観点から作成が強く推奨されています。

そして実務の現場でよく使われているのが、この2つを一枚にまとめた「労働条件通知書兼雇用契約書」です。双方がサインすることで、「条件を書面で通知した」と「双方が合意した」を同時に証明できるため、書類の管理もシンプルで済みます。飲食店をはじめとした多くの事業所でこの一体型が採用されています。


契約期間についても知っておこう

アルバイトのように「3ヶ月契約」「半年契約」など期間を定めて雇う形を「有期労働契約」といいます。

有期労働契約の期間は、原則として上限は3年です。「とりあえず5年契約で」といった形は認められていません。

また、使用者は有期労働契約によって労働者を雇い入れる場合は、その目的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。

「1ヶ月ごとに更新」を繰り返す形は、スタッフに不安を与えるだけでなく、法律上も望ましくないとされています。


雇用契約書に書かなければならないこと

雇用契約書(労働条件通知書)に記載が必要な項目は、労働基準法によって定められています。主なものは以下のとおりです。

必ず書面に記載しなければならない項目

  • 労働契約の期間(いつからいつまで働くか)
  • 勤務場所と仕事の内容
  • 始業・終業の時刻、休憩時間
  • 休日・休暇
  • 賃金の決め方、計算方法、支払い方法、締め日と支払日
  • 退職・解雇に関するルール

制度がある場合に記載が必要な項目

  • 退職金の有無と計算方法
  • 昇給のルール
  • 賞与の有無
  • 食費・作業用品などの負担に関すること(まかない代の天引きなど)

これらの項目が漏れていると、法令違反とみなされる可能性があります。


雇用契約を一方的に変更することはできない

採用後に「やっぱり時給を下げる」「勤務日数を変える」といった変更を一方的に行うことは、法律上認められていません。

労働者と使用者が合意をすれば労働契約を変更できますが、合意による変更の場合でも就業規則に定める労働条件を下回ることはできません。また、使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。

「オーナーの都合で条件を変えられる」と思っていたとすれば、それは大きな誤解です。変更するには必ずスタッフの合意が必要であり、合意の証拠として書面に残しておくことが重要です。


解雇にも厳しいルールがある

「気に入らないから明日から来なくていい」という解雇は、法律上認められていません。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、権利を濫用したものとして無効となります。

また、やむを得ず解雇を行う場合でも、30日前に予告を行うか、予告を行わない場合には解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うことが必要です。

さらに有期契約のアルバイトについては、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができません。「契約期間中だから守られる」というのはスタッフ側にとって重要な権利です。


雇用契約書はいつ渡せばいい?

雇用契約書(労働条件通知書)は、働き始める前に渡すのが法律上の原則です。

とはいえ現実には、初出勤日に渡すケースが多いのも事実です。それ自体が即座に違法とはなりませんが、「サインしないと働けない」という状況で渡すのは、内容を十分に確認する余裕がなく、後のトラブルにつながりやすくなります。できれば採用が決まった段階で事前に送付し、初日までに目を通してもらうのが理想的です。

なお、書面での交付が原則ですが、労働者が希望した場合には、ファクシミリの送信または電子メール等の送信により明示することも可能です。


まとめ

雇用契約書は、オーナーとスタッフ、双方を守るための書類です。「うちはずっとこれでやってきたから大丈夫」という経験則よりも、一枚の正しい書類がトラブルを未然に防いでくれます。

当事務所では、お客様の実態に合わせた雇用契約書の作成代行を、WEBのお打ち合わせのみで承っています。テンプレートの使いまわしではなく、シフト休日の記載・契約期間の設定など、お店の状況を項目ごとにヒアリングしたうえで作成します。

「自分の店に合った雇用契約書を、きちんと作っておきたい」という方は、お気軽にご相談ください。

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