今回は一人親方が建設業許可を取得するために必要な事項をまとめました。
目次
建設業許可は工事1件の請負額が500万円以上(材料費を含む)の場合に必要になる許可です。
一人親方として活動していて請負金額が500万円未満の場合、「許可は必要ないのではないか?」と疑問に思われる方も多いです。
建設業許可を取得している事業者は、一定の要件を備えて許可を受けているため、取引先から経営面、技術面、管理体制の面でお墨付きを受けている事業者と捉えられます。
また、業界としても安心して取引ができるという観点から「なるべく許可を受けている事業者と取引をしよう」という風潮があり、建設業許可が必要のない事業者でも社会的信用の為に建設業許可を取得しているというケースが多くあります。
今後は益々その風潮が高まり、許可を取得していることが前提の取引が増加していくことと思われます。
上記で挙げた「信用」のために建設業許可を取得しようと思い立った場合でも、すぐには取得できません。
まず許可を取得するための要件を満たしているのか確認し、満たしていない場合は要件を満たす対策をして、書類を作成・収集、申請することになります。
申請後、役所での処理期間もあるため2カ月程度はかかると考えておくのが無難です。
理由その1で述べた通り「許可をとっている事業者と取引しよう」という考えの取引先の場合や、500万円以上の工事や公共工事の場合など、工事の受注に影響が出る可能性も考えられます。
建設業許可を取得する場合、個人事業主でも法人でも要件に違いはありません。
①経営業務の管理責任者等の設置
②専任技術者の設置
③誠実性を有していること
④財産的基礎又は金銭的信用を有していること
⑤欠格要件に該当しないこと
⑥適切な社会保険への加入
要件のうち、一番ネックになるのが①経営業務の管理責任者等の設置、②専任技術者の設置となります。
このうち一人親方が①②を兼任することも可能です。
①については、個人事業主として5年以上建設業に従事していれば可能です。
しかし、そのことを書面で証明する必要があります。
個人事業主の場合は、以下の書類が必要です。
①所得税の確定申告書(第一表)の控え
(税務署の受付印または税務署の受信通知(電子申告の場合)がついているもの)
②工事の実績が確認できるもの
(例えば工事内容・工事期間・請負金額が確認できる工事の契約書や注文書、請求書など)
上記はともに5年分必要です。
将来的に建設業許可取得をお考えの場合、これらをなくさないように保管しておきましょう。
また、過去に建設業許可を取得している法人で役員経験がある場合も該当することがあります。
その場合は証明書類も変わってきますので、お問合せくださいませ。
経営業務の管理責任者になるための要件を満たしていたら、次に専任技術者になれるかの確認を行います。
専任技術者になるためには以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
①申請する工種の実務経験が10年以上ある
②国家資格の有資格者
※実務経験の10年は特定の学科を卒業している場合、短縮されることがあります。
※国家資格は申請する業種により必要なものが異なります。
①の証明を行う場合、請け負った工事内容・工事期間・請負金額が確認できる工事の契約書や注文書、請求書などで証明を行います。
これらの書類を10年分揃える必要がありますが、10年前の書類を紛失していることも少なくありません。
そのため、専任技術者は②の国家資格でなることが一番現実的と言えます。
資格証を紛失している場合は、再発行をするなどして準備しておきましょう。
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専任技術者については以下の記事で詳しく説明しています。
残りの要件については、適切な社会保険に加入しており、欠格要件に該当せず、資金力が500万円以上あれば(通帳に500万円以上預金があれば概ね大丈夫です。)特段心配はないように思います。
今回は一人親方のための建設業許可取得についてまとめました。
弊所でも申請代行をしておりますので、要件を満たしているか確認したいなどがございましたらお気軽にお問合せください^^