産業廃棄物収集運搬業（産廃業）の概要
産業廃棄物収集運搬業(積替え保管なし)の概要ついて解説します。
目次
産業廃棄物とは？
産業廃棄物とは、事業活動から出てきた廃棄物であって法律で列挙するものをいいます。
１ 燃え殻
産業廃棄物焼却炉の残灰、炉清掃排出物、石炭がら、その他の焼却残渣など
２ 汚泥
工場排水などの処理後に残る泥状のもの、各種製造業の製造工程で出る泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、ビルピット汚泥（し尿を含むものを除く）、パルプ廃液汚泥、動植物性原料使用工程の排水処理汚泥、生コン残渣、炭酸カルシウムかす、排水溝清掃汚泥など
３ 廃油
鉱物性油、動植物性油脂、潤滑油、絶縁油、洗浄用油、切削油、溶剤、タールピッチなど
４ 廃酸
廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類、写真定着廃液など、すべての酸性廃液
５ 廃アルカリ
廃ソーダ液、金属せっけん液、写真現像廃液など、すべてのアルカリ性廃液
６ 廃プラスチック類
合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず、廃タイヤなど固形状及び液状のすべての合成高分子系化合物
７ 紙くず
紙、板紙くず、障子紙、壁紙など
８ 木くず
おがくず、バーク類、木製パレット、木製リース物品など
９ 繊維くず
木綿くず、羊毛くずなどの天然繊維くず、畳、カ－テンなど
10 動植物性残さ
あめかす、のりかす、醸造かす、醗酵かす、魚及び獣のあらなど
11 動物系固形不要物
法に定めると畜場及び食鳥処理場における処理時に排出される固形状の不要物
12 ゴムくず
天然ゴムくずのみ
13 金属くず
鉄鋼又は非鉄金属の研磨くず、切削くずなど
14 ガラスくず
ガラスくず、コンクリートくず（工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。）、耐火レンガくず、陶磁器くず、石膏ボードなど
15 鉱さい
高炉、転炉、電気炉などの残渣、キューポラのノロ、ボタ、鋳物砂、不良鉱石、不良石炭、粉炭かす、サンドブラスト廃砂など
16 がれき類
工作物の新築、改築又は除去に伴って生ずるコンクリートの破片、レンガの破片、その他これに類する不要物など
17 動物のふん尿
牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとりなどのふん尿〔畜産農業に係るものに限る。〕
18 動物の死体
牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとりなどの死体〔畜産農業に係るものに限る。〕
19 ばいじん
大気汚染防止法第２条第２項に規定するばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法第２条第２項に規定する特定施設(ダイオキシン類を発生し、及び大気中に排出するものに限る)又は上記１～１８に掲げる産業廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであって、集じん施設によって集められたもの
20 産業廃棄物を処分するために処理したもの
上記１～１９に掲げる産業廃棄物を処分するために処理したものであって、これらの産業廃棄物に該当しないもの（コンクリート固型化物など）
特定管理産業廃棄物
１ 廃油
２ 廃酸
３ 廃アルカリ
４ 感染性産業廃棄物
５ 特定有害産業廃棄物
– 廃ＰＣＢ等、ＰＣＢ汚染物、ＰＣＢ処理物
– 廃石綿等
– 有害産業廃棄物
産業廃棄物は家庭からでるゴミのようにゴミ箱にすてて処理はできません。
許可を取得している事業者に収集運搬してもらい、処分する必要があります。
この廃棄物を収集運搬できる許可を「産業廃棄物収集運搬業」と言います。
排出事業者自らに処理責任があります。
収集運搬業とは？
産業廃棄物処理業の許可は大きく二種類に分かれます。
収集運搬業と処分業です。
簡単に言うと、廃棄物を「運ぶ」のか「処分する」のかという違いになります。
収集運搬業は文字通り、産業廃棄物を収集して運搬することをいいます。
ここでいう収集運搬業は積替え又は保管を含まない説明になります。
積替え又は保管を含まないとは？
排出源から収集した廃棄物を積替え・保管施設において積替え・保管せずに、中間処理施設や最終処分先場に直接運ぶことをいいます。
許可のある積替え・保管施設以外での廃棄物の車両等から車両等への積替えや一時的な保管、廃棄物を積んだ車両等を日付を越えて停めておく行為をすることはできません。
廃棄物処理の流れと行為
廃棄物の発生から処理までを図にすると以下のような形になります。
許可の要件
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けるための要件は次のとおりです。
必要な施設（運搬車・運搬容器等）を有していること
必要な車両等
ダンプトラック、吸引車等の車両、ドラム缶、フレキシブルコンテナバック等の容器など産業廃棄物の性状、形状、量に応じた施設（車両及び容器）が必要です。また、『感染性産業廃棄物』は専用密閉容器と、保冷車又は密閉車両と保冷機能が必要となります。
施設の使用権原等について
申請者は、継続して施設（運搬車・運搬容器等）の使用の権原を有している必要があります。
講習会を修了等していること
次に掲げる者が、特定の講習会を修了等していることが必要です。
申請者が法人の場合
代表者又は産業廃棄物の処理に関する業務を行う役員等
申請者が個人の場合
当該者又は事業場の代表者
講習会の実施主体
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター（TEL 03-5275-7115）
産業廃棄物収集・運搬課程（新規）
特別管理産業廃棄物収集・運搬課程（新規）
産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物収集・運搬課程（更新）
特別管理産業廃棄物管理責任者講習
公益社団法人大阪府産業資源循環協会（TEL 06-6943-4016)
廃棄物管理士講習
経理的基礎を有すること
産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有することが必要です。
超過経過とは、法人でいうと直近の決算書において貸借対照表の純資産がマイナスの状態をいいます。
つまり、少なくとも債務超過の状態でなく、かつ持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがあることが求められています。
欠格要件に該当しないこと
申請者が以下の欠格要件に該当しないことが必要です。
法人の場合、役員、株主又は出資者、政令で定める使用人も対象となります。
①第7条第5項第4号イからチまでのいずれかに該当する者
②暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
③営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が①又は②のいずれかに該当するもの
④法人でその役員又は政令で定める使用人が①又は②のいずれかに該当するもの
⑤個人で政令で定める使用人のうちに①又は②のいずれかに該当するもの
⑥暴力団員等がその事業活動を支配する者
つまり、暴力団員であったり、心身が故障している者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、過去に刑罰等を受けていないかなどが問われます。
申請手数料
産業廃棄物収集運搬業の申請手数料は新規許可申請で81,000円です。
産業廃棄物収集運搬業は、複数の都道府県を跨ぐ場合、各都道府県の許可が必要になります。
そのため、大阪と兵庫で取得する場合は81,000円×2=16,2000円の手数料が必要です。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業の概要をお伝えしました。
産業廃棄物収集運搬業の申請書類は、必要書類の収集から廃棄物の種類の記載、写真の添付など細かくあります。
弊所でも申請代理を行っておりますので、お気軽にお問合せくださいませ！