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「免許の基準」とは、宅建業者としてふさわしくない者を宅建業界から排除するために設けられた基準です。
一定の基準に該当する者は免許を受けることができません。
これを欠格要件とも呼びます。
免許の基準については、宅地建物取引業法の第五条に記載があります。
この免許の基準は大きく以下3つのグループに分けられます。
①免許の申請者自身に問題がある場合
②関係者に問題がある場合
③申請手続き上の問題がある場合
破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合、宅建業者にはなれません。
自分の財産を管理できない者に免許は与えないという趣旨です。
ただし、復権を得た場合はただちに免許を受けることができます。
禁錮以上の刑とは「禁錮」と「懲役」をさします。
刑は軽い順に、科料→拘留→罰金→禁錮→懲役→死刑 となります。
「禁錮」と「懲役」は刑務所に拘置されます。
こちらは上記の破産とは異なり、刑の執行が終わってもただちに免許を受けることはできません。
「その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年」と記載されている通り、刑務所を出てから5年間は免許を受けることができないことになります。
「刑の執行を受けることがなくなつた」とは、具体的に時効が完成した場合などをさします。
「禁錮」と「懲役」については、犯罪の種類に関係なく、5年間免許は受けられません。
刑の全部に執行猶予がついている場合
執行猶予期間中は免許を受けることができません。
ただし、執行猶予期間が満了すると、その翌日からただちに免許を受けることが出来るようになります。
控訴中や上告中の者
禁錮以上の刑の判決を受けた場合でも、控訴中や上告中の者は免許を受けることができます。
上記で述べた禁錮より刑が1つ軽い「罰金刑」の規定です。
この規定の罪を犯し、罰金刑に処せられた場合、5年間免許を受けることができません。
逆に言えば、ここに列挙されていない罪の場合、ただちに免許を受けることができるわけです。
科料や拘留の刑罰を受けた場合
罪の種類を問わず、ただちに免許を受けることが可能です。
欠格要件には該当しないことになります。
刑の全部に執行猶予がついている場合
執行猶予期間中は免許を受けることができません。
ただし、執行猶予期間が満了すると、その翌日からただちに免許を受けることが出来るようになります。
控訴中や上告中の者
罰金刑の判決を受けた場合でも、控訴中や上告中の者は免許を受けることができます。
暴力団員が不動産取引に関与しないよう定められている規定です。
その行為について刑に処せられたかどうかは関係ありません。
宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をした者は、そのこと自体が欠格要件となります。
過去に宅建業の取引において、詐欺や脅迫等の不正行為や重大な契約違反を行った経歴がある場合などが該当します。
精神的な障害びより宅建業を適正に営むことに支障がある場合などがあたります。
必要な認知や、判断、意思疎通を適切に行うことができる必要があります。
宅建業を営んでいたものが以下のいずれかを理由として免許を取り消された場合の規定です。
(※特に悪質な理由3つ)
・不正手段による免許取得
・業務停止処分対象行為で情状が特に重い
・業務停止処分違反
上記※の3つの理由で免許を取り消された法人で役員であった者に対する制限です。
聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に当該法人に役員として在籍していた者は免許を受けることができません。
役員とは、当該法人に対して強い支配力をもつ者をいいます。
主に取締役などをいいますが、取締役と同等以上の支配力があれば、相談役、顧問等の名称を問わず役員に該当します。
役員に該当しない者
単なる専任の宅地建物取引士
政令で定める使用人(支店長など)
上記※の3つの理由による免許取消し処分の聴聞の期日及び場所の公示後、処分の決定前に自ら解散や廃業をした場合です。
自分から辞めてしまっても、その届出の日から5年間は免許を受けることはできません。
逃げ特は許さないという趣旨です。
こちらも役員の逃げ特は許さないという趣旨です。
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者とは?
親などの法定代理人から、営業の許可を受けていない未成年者のことをさします。
これとは逆で、営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者とは、法定代理人から営業の許可を受けている者です。
成年者と同一の行為能力を有しない未成年者の場合、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者本人と、その法定代理人も免許の審査対象になります。
免許の申請者自身に問題がある場合のグループに役員又は政令で定める使用人が該当する場合、法人は免許を受けることができません。
暴力団関係者は宅建業免許を受けることができません。不動産業界全体の信用や利益を保つためです。
宅建業の事務所には、業務に従事する者5人に1人以上の割合で成年者である専任の宅地建物取引士を置く義務があります。
この要件を満たしていない場合は免許を受けることができません。
免許の申請書について嘘をついたり、重要な事項が抜けている場合です。
申請の手続き自体に問題がある場合をさします。
5年間免許を受けられない場合は以下です。
■免許不正取得、情状が特に重い不正行為又は業務停止処分違反をして免許を取り消された場合
■免許不正取得、情状が特に重い不正行為又は業務停止処分違反をした疑いがあるとして聴聞の公示をされた後、廃業の届出を行った場合
■禁錮以上の刑又は宅地建物取引業法違反等により罰金の刑に処せられた場合
■免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした場合 など
その他の場合は以下です。
■成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
■宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな場合
■事務所に従業者5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士を設置していない場合
第五条
国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 第六十六条第一項第八号又は第九号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条、第十八条第一項、第六十五条第二項及び第六十六条第一項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
三 第六十六条第一項第八号又は第九号に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十一条第一項第四号又は第五号の規定による届出があつた者(解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から五年を経過しないもの
四 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十一条第一項第四号若しくは第五号の規定による届出があつた法人(合併、解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は届出の日から五年を経過しないもの
五 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
六 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。第十八条第一項第七号及び第五十二条第七号ハにおいて同じ。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
七 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
八 免許の申請前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
九 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者
十 心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
十二 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
十三 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者
十五 事務所について第三十一条の三に規定する要件を欠く者
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をしない場合においては、その理由を附した書面をもつて、申請者にその旨を通知しなければならない。
今回は宅建業の免許の基準(欠格要件)についてまとめました。
免許の基準はこれから宅建業を営もうとする方はもちろん、宅建士試験でも重要な事項です。
ご参考になりますと幸いです。
知事免許 新規:70,000円(税抜き)
大臣免許 新規:130,000円(税抜き)
保証協会加入手続き:20,000円(税抜き)
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