建設業の工期(著しく短い工期)に関する基準!法改正情報

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建設業界は深刻な人手不足に陥っています。
建設業は、社会資本整備の担い手であり、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う「地域の守り手」です。
建設業がその役割を果たしつつ、今後も魅力ある産業として活躍し続けるために、生産性の向上、中長期的な担い手確保に向けて、長時間労働の是正、週休2日の達成等の働き方改革を推進することが急務とされてきました。
また、建設工事の発注者においても、建設業者が重要なパートナーであることを認識し、建設業における働き方改革に協力することが必要です。
上記の背景から、建設業法令遵守ガイドラインでは「工期に関する基準」、著しく短い工期の禁止等が定められています。
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律
1. 改正の背景と必要性
建設業界では長時間労働が常態化しており、その是正等が急務とされてきました。
そんな中で働き方改革関連法が改正され、建設業では、2024年度から時間外労働の上限規制(罰則付き)が適用開始となりました。
■原則、月45時間 かつ 年360時間
■特別条項でも上回ることの出来ないもの:
- 年720時間(月平均60時間)
- 2~6ヶ月の平均でいずれも80時間以内
- 単月100時間未満
- 月45時間を上回る月は年6回を上限
現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化する中、限りある人材の有効活用と若者の入職促進による将来の担い手の確保が急務とされています。
※技能者数の年齢構成:60歳以上が82.8万人(25.2%)に対し、30歳未満は36.5万人(11.1%)。
建設業界は、地方を中心に事業者が減少しており、後継者難が重要な経営課題となっています。今後も「守り手」として活躍し続けやすい環境整備が必要です。
以上、3つの背景から建設業法令遵守ガイドラインの改訂が行われました。
2. 法案の概要
(1) 建設業の働き方改革の促進- 長時間労働の是正(工期の適正化等)
中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告。
著しく短い工期による請負契約の締結を禁止し、違反者には国土交通大臣等から勧告等を実施。 - 現場の処遇改善
建設業許可の基準を見直し、社会保険への加入を要件化。
下請代金のうち、労務費相当分については現金払い。
- 人材の有効活用と若者の入職促進
工事現場の技術者に関する規制を合理化。
(ⅰ)技士補がいる場合は複数現場の兼任を容認(監理技術者)
(ⅱ)一定未満の工事等の要件を満たす場合は設置を不要化(下請の主任技術者) - 施工の効率化
資材の欠陥に伴い施工不良が生じた場合、建設資材製造業者に対して改善勧告・命令できる仕組みを構築。
- 経営業務管理責任者の規制合理化
事業者全体として適切な経営管理責任体制を有することを求めることとする(5年以上の役員経験規制の見直し)。 - 事業承継の円滑化
合併・事業譲渡等に際し、事前認可の手続きにより円滑に事業承継できる仕組みを構築。
著しく短い工期の禁止(改正法第19条の5)
「注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。」
建設業従事者の長時間労働の是正のためには、建設工事の契約締結の際に、適正な工期を設定することが必要であり、従来のような長時間労働を前提とした短い工期での工事は、事故の発生や手抜き工事にもつながるおそれがあるため禁止することとしたものです。
「著しく短い工期」の判断基準
「通常必要と認められる期間と比して著しく短い期間」とは、単に定量的に短い期間を指すのではなく、建設工事の工期に関する基準等に照らして不適正に短く設定された期間をいいます。
- 見積依頼の際に元請負人が下請負人に示した条件
- 下請負人が元請負人に提出した見積もりの内容
- 締結された請負契約の内容
- 当該工期を前提として請負契約を締結した事情
- 下請負人が「著しく短い工期」と認識する考え方
- 当該工期に関する元請負人の考え方
- 過去の同種類似工事の実績
- 賃金台帳
具体的な3つの判断視点
契約工期が「工期基準」を踏まえていないために短くなり、下請負人が違法な長時間労働などの不適正な状態で施工することになっていないか。
過去の同種類似工事の工期と比較して短くなることによって、下請負人が違法な長時間労働などの不適正な状態で施工することになっていないか。
下請負人が見積書で示した工期と比較して短い場合、それによって、下請負人が違法な長時間労働などの不適正な状態で施工することになっていないか。
※令和6年4月1日以降、上限規制を上回る違法な時間外労働を前提とする工期は、合意があっても「著しく短い工期」と判断されます。
違反となるおそれがある行為事例と罰則
事例①
元請負人が、発注者からの早期引渡しの求めに応じるため、下請負人に対して、一方的に通常よりもかなり短い期間を示し、下請契約を締結した場合。
事例②
下請負人が、通常必要と認められる期間を工期として提示したにも関わらず、それよりもかなり短い期間を工期とする下請契約を締結した場合。
事例③
工事の一時中止や数量追加など、下請負人の責めに帰さない理由で工期を変更する際、変更後の工事に対して通常よりもかなり短い期間を工期とする契約を締結した場合。
違反した場合の勧告・公表
この規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、行政庁は以下の措置を行います。
- 元請負人への勧告:許可行政庁が元請負人に勧告を行う。
- 発注者への勧告・公表:著しく短い工期で契約した発注者に対し、国交大臣や知事が必要な勧告を行う。従わない場合は公表される。
- 報告徴収:必要があるときは発注者に対し、報告又は資料の提出を求める。
※勧告等の対象となるのは、請負代金の額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)以上の建設工事です。
ここまでの感想
建設業法第19条の5において、「著しく短い工期による請負契約の禁止」が規定されました。
この規定の趣旨は、建設業就業者の長時間労働を是正し、安全で質の高い工事を実現することにあります。
建設業の働き方改革に向けては、民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠です。違反リスクを避けるためにも、適正な工期設定を心がけましょう。
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