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ビジネス出張がスムーズになる「APEC・ビジネス・トラベル・カード」をご存じでしょうか。
APEC・ビジネス・トラベル・カードとはAPEC域内を頻繁に渡航するビジネス関係者の移動を円滑にすることを目的として、ABTC制度参加国・地域の政府が自国・地域のビジネス関係者に対して交付するカードのことです。
APEC・ビジネス・トラベル・カードを略してABTCと呼びます。
ABTC所持者は、APEC域内を短期商用目的で渡航する場合、事前に各国・地域の承認を得ることで、①査証なしで入国審査を受けることができます。
また、②入国審査時に、ABTC専用レーン又は優先レーンを利用することが可能です。
ABTC制度参加国・地域は以下です。(R6.4.28現在)
オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国及びベトナム
※香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称でAPECに参加
米国とカナダへの渡航
米国とカナダは、APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)制度への暫定的な参加メンバー(transitional member)(英語)別ウィンドウで開くのため、入国審査においてABTC専用レーン(または優先レーン)の使用はできますが、ABTCによる入国は認められておらず、査証の取得が必要です。
ロシアへの渡航
現時点(2024年3月現在)で、ロシア政府は、バーチャルABTCによる入国を認めていません。そのため、ロシアへの渡航を希望される場合、有効なプラスチックABTC又は入国査証が必要となります。ただし、日本では、2024年4月1日以降に受理された申請に対してプラスチックABTCを交付しないため、バーチャルABTCの所持者はロシアの入国の際には査証の取得が必要となります。
ABTCの有効期間は原則、交付から5年間です。
ただし、ABTCを交付する時点で旅券の残存有効期間が5年未満の場合は、交付されるABTCの有効期限は旅券の有効期限と同一となります。
従来の申請方法は、紙の書類を外務省に郵送が必要でした。
令和6年4月より新制度がスタートし、完全オンライン申請に切り替わりました。
従来は「プラスチックのABTC」でしたが、新制度ではアプリをインストールしてカードを表示する形の「バーチャルABTCの交付」が開始となります。これにより、紛失時にも新しい端末にアプリをインストール後、即時の利用再開が可能となりました。
また、これまで平均6か月ほど交付までに期間が必要でしたが、より早期の交付が可能となりました。
旅券更新時の手続も簡略化され、これまで旅券更新時には既存のABTCは失効するので新規交付手続きが必要でしたが、条件に応じて旅券番号の変更による再交付のオンライン申請が可能となりました。
なお、令和6年4月1日以降も、発行済みのプラスチックABTCは、旅券を更新した場合を除き、カードの有効期限まで利用できます。
バーチャルABTCは、APEC域内の貿易及び投資の円滑化に寄与することを目的とした制度とされています。
渡航目的は、短期間行われる収入又は報酬を伴わない活動であって、商談、業務連絡、市場調査、投資のための契約締結、納品後の報酬を伴わないアフターサービス等に限定されています。
観光などの短期商用以外の渡航目的での使用は想定されていません。
また、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動を行う場合には、就労ビザが必要です。
APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)の交付要件は、①日本のビジネス関係者で、②外務省が省令及び告示で定めている以下の交付要件を満たす方とされています。
②の「外務省が省令及び告示で定めている以下の交付要件を満たす方」とは以下の1~4です。
1.有効な日本国旅券を所持していること
2.申請書その他の提出書類に虚偽の記載がないこと
3.犯罪歴がないこと
4.外務大臣が告示で定める次のいずれかの要件に該当していること
(1)APECビジネス諮問委員会(ABAC)の日本委員、日本代理委員又は日本委員を補佐する業務に従事する方
(2)金額の多寡を問わず、貿易・投資実績(注2)がある企業等の経営者又は当該企業等に雇用されている方で、貿易等に関する事業(注3)を行うことを目的として参加国・地域への渡航が必要であると認められる方
(3)ABAC日本支援協議会の構成団体(日本経済団体連合会、日本商工会議所(日本商工会議所の会員である商工会議所を含む)、経済同友会及び関西経済連合会)の職員、その団体の会員である機関の経営者又は当該機関に雇用されている方で、貿易等に関する事業を行うことを目的として参加国・地域への渡航が必要であると認められる方
(4)貿易等に関する事業を行う機関の経営者又は当該機関に雇用された方で、貿易等に関する事業のうち、特に災害復興に資すると認められるものを行うことを目的として参加国・地域に渡航し、かつ、今後同様に渡航することが必要であると認められる方
(5)税関長が承認又は認定した貿易関連事業者であって、参加国等において貿易等に関する事業を行うことを目的として参加国等に渡航し、かつ、今後同様に渡航することが必要であると認められる方
※スポーツ選手、報道特派員、芸能人、音楽家、芸術家又は同様の職業に当たる方は、交付対象になりません。
輸出入・海外投資の実績がない場合、申請はできません。
金額の多寡を問わず、貿易・投資実績がある企業等の経営者又は当該企業等に雇用されている方が交付対象者とされています。
「過去1年以内または直近の決算期の実績」が必要です。
ABTC申請の流れは以下のとおりです。
ABTC申請に必要な書類と添付ファイルは以下のとおりです。
※所属する団体によって省略できる書類もあります。
①顔写真
②旅券の写し
③在職証明書
④登記事項証明書
⑤貿易・海外投資の実績を示す文
⑥業務内容に関する資料
申請に必要な費用は13,000円です。
支払い方法は、申請後に手数料納付書を印刷して収入印紙13,000円分を郵送します。
審査の結果、不交付となった場合には、その旨がメールで通知されます。
一度不交付になったとしても、改めて申請を行うことは可能です。
APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)について解説いたしました。
新制度の導入によって申請はオンラインでできるようになり、カードはスマホ等端末のアプリ上で表示することになり、各国・地域の承認後、即時渡航利用が可能になりました。
今後益々活用が見込まれるABTCですが、当事務所でも申請代行を行っております。
1申請:25,000円(税抜き)
当事務所は女性行政書士が切り盛りする行政書士事務所です。
女性ならではの柔軟性や丁寧さに加え、フットワークの軽さにも自信があります。
事務所は大阪ですが、他府県であっても出張する準備がございます。
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