本記事では解体工事業を営もうとする際に必要な解体工事業登録について解説します。
どのような場合に解体工事業の登録が必要なのかや、登録申請先、必要な書類についてもまとめております。
目次
解体工事業の登録は、解体業を営もうとする場合で比較的軽微(500万円未満)な解体工事を請け負う場合に必要となります。
建築物等の解体工事の請負をする場合、元請人、下請負人問わずその工事請負金額の大小にかかわらず、「建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律」(建設リサイクル法)に基づいて、「解体工事業」の登録が必要です。
本店・支店の有無に関係なく、解体工事を行う都道府県ごとに解体工事業登録を行う必要があります。
※とび・土工工事業の許可を持っている建設業者が解体工事を請け負うことができるという経過措置は、令和元年5月31日をもって終了しました。
工事の請負金額が500万円以上の解体工事又は解体工事を含む建設工事(建築一式工事に該当する解体工事を含む建設工事にあっては請負金額が1,500万円以上)を行う場合は、建設業法による建設業許可が必要となります。
解体工事業の建設業許可を取得している場合は、今お持ちの許可で解体工事業を行うことが可能です。
解体工事を行う予定の都道府県知事の登録を受ける必要があります。
登録は工事を行う都道府県ごとに行う必要があります。
例えば、大阪府外に営業所が置かれている場合でも、大阪府内で解体工事を行う場合は大阪府知事の登録を受ける必要があります。
以下のいずれかに該当する場合、又は申請内容に虚偽の記載があったり重要な事実の記載が欠けているときは、登録が拒否されます。
1 解体工事業の登録を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しない者
2 解体工事業者で法人であるものが登録を取り消された場合において、その処分のあった日前 30 日以内にその解体工事業者の役員であった者でその処分のあった日から2年を経過しないもの
3 解体工事業の事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
4 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)又はこの法律に基づく処分に違反
して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
5 暴力団員及び暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者(9で暴力団員等という)
6 解体工事業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
7 法人でその役員のうちに1から5までのいずれかに該当する者があるもの
8 技術管理者を選任していない者
9 暴力団員等が支配する者
解体工事業登録を受けるためには、「技術管理者」を選任する必要があります。
・大学、高等専門学校で一定の学科を卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
・高等学校で一定の学科を卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する者
・解体工事に関し8年以上の実務経験を有する者
※一定の学科とは、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園に関する学科を含む)、都市工学、衛生工学、交通工学、建築学に関する学科をいいます。
※全国解体工事業団体連合会が実施する解体工事施工技術講習の受講者には上記期間の短縮措置があります。
・一級建設機械施工
・二級建設機械施工(第一種、第二種)
・一級土木施工管理
・二級土木施工管理(土木)
・一級建築施工管理
・二級建築施工管理(建築、躯体)
・技術士(建設部門):技術士法 技術士第二次試験
・一級建築士
・二級建築士
・一級とび・土工
・二級とび+解体工事実務経験1年
・二級とび工+解体工事実務経験1年
・解体工事施工技士試験合格者
技術管理者に選任した者は、建設業の許可の経営業務の管理責任者や専任技術者と兼務することはできませんので注意が必要です。
申請者に雇用されていることが確認できれば、他県の営業所の者を選任しても問題ありません。
例えば大阪府の解体工事業登録の申請をする際に、技術管理者が東京の営業所に所属していても問題ありません。
出向者の場合、出向辞令・出向協定書等の写しを提出する必要があります。
登録の有効期間は、5年間です。
引き続き解体工事業を営もうとする場合は、更新の手続きを行う必要があります。
更新の申請は有効期間満了の日の3ヶ月前から有効期間満了の 30 日前までに行う必要があります。
更新を受けなければ、その期間の経過によって、登録の効力は失われますので忘れないように更新しましょう。
登録手数料は、新規申請時は33,000円、更新時は26,000円が必要です。
登録手数料は途中で登録申請を取りやめても返還されませんので注意しましょう。
必要書類は以下となります。
提出が必要な書類と窓口での提示が必要な書類に分かれます。
① 解体工事業申請書
② 誓約書
③ 技術管理者の資格要件を確認する書類
ア 実務経験証明書(規則様式第 3 号)(要件に実務経験を必要とする場合)
イ 卒業証書・卒業証明書の写し(一定の学科を履修した大学・高専・高校卒の場合)
ウ 資格証明書・解体工事施工技術講習修了証の写し(有資格者・講習修了者の場合)
④ 登録申請者の調書
⑤ 申請者の所在確認書類
ア 発行後3か月以内の商業登記簿謄本の原本又は写し(法人の場合)
イ 発行後3か月以内の住民票(マイナンバーの記載のないもの)の原本又は写し(個人の場合)
⑥ 法定代理人の証の写し及び法定代理人の発行後3か月以内の住民票の原本又は写し(未成年者の場合)
⑦ 委任状の原本(代理人が申請する場合)
⑧ 技術管理者の在籍を確認する書類
⑨ 営業所(支店含む)の所在地を確認する書類
⑩ 解体工事業登録通知書の原本又は写し(更新申請の場合)
⑪ 本人確認書類
次のいずれかの現在有効な書類の原本を提示します。
(1)運転免許証 (2)(国民)健康保険証(被保険者証) (3)特別永住者証明書・在留カード(4)住民基本台帳カード (5)後期高齢者医療被保険者証 (6)パスポート(旅券)(7)船員保険証 (8)身体障害者手帳 (9)官公庁又は公的機関や団体が発行する資格証
申請者の役員・従業員にあっては、(10)申請者の発行する身分証明書でも可
解体工事業申請書(規則様式第 1 号)(表面)
解体工事業申請書(規則様式第 1 号)(裏面)
誓約書(規則様式第 2 号)
技術管理者の資格要件を確認する書類(実務経験証明書(規則様式第 3 号))
登録申請者の調書(規則様式第 4 号)
法人が解体業の登録を受ける場合、事業目的に解体工事に関係する事業を掲げる必要がありますのでご注意ください。
※「建設業」、「解体工事業」、「土木工事業」、「建築工事業」等
解体工事業の登録を受けた後に、以下の事由が発生した場合は手続きが必要です。
■変更の届出
登録後、商号、所在地、役員、技術管理者等に変更があった場合は、その日から30日以内に変更の届出が必要です。
■更新の申請
登録は、5年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって、効力を失います。
引き続き登録を行う場合は、有効期間満了の30日前までに更新手続きを行う必要があります。
■廃業等の届出
解体工事業者が、死亡、合併、破産手続開始の決定、廃止を行った場合、30日以内に廃業等の届出が必要です。
■抹消の通知
解体工事業者の登録を受けた後、建設業法に基づく「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の許可を受けた場合は、許可を受けた後に登録先へ通知を行う必要があります。
商号、所在地、役員、技術管理者等について変更があった場合は、その日から30日以内に変更の届出が必要です。
変更事由により、必要書類が異なります。
変更事由 | 必要書類 |
商号・名称 | ア 解体工事業登録事項変更届出書(規則様式第 6 号) イ 発行後3か月以内の商業登記簿謄本の原本又は写し(申請者が法人の場合) |
営業所の所在地・個人の住所 | ア 解体工事業登録事項変更届出書(規則様式第 6 号) イ 発行後3か月以内の商業登記簿謄本の原本又は写し(申請者が法人の場合) ウ 発行後3か月以内の住民票の原本又は写し(申請者が個人の場合) エ 法人は商業登記簿上の所在地以外、個人は住民票の住所以外を主たる営業所として申請する場合に、次のいずれかの書類 ① 賃貸契約書の写し(賃貸の場合) (賃貸契約書の使用目的が居住用に限定されている場合、事務所禁止となっている場合、申請者と借主が異なる場合等については、「貸主の使用承諾書」が必要です。) ② 発行後3か月以内の建物登記簿謄本、申請直前の固定資産税納税通知書又は申請直前の固定資産評価証明の写し(自己所有の場合) |
営業所の名称 | ア 解体工事業登録事項変更届出書(規則様式第 6 号) イ 発行後3か月以内の商業登記簿謄本の原本又は写し(申請者が法人の場合)⇒ 登記上の変更がない場合は不要 |
役員 | ア 解体工事業登録事項変更届出書(規則様式第 6 号) イ 誓約書(規則様式第 2 号) ※退任者は不要 ウ 登録申請者の調書(規則様式第 4 号) ※退任者は不要 エ 発行後3か月以内の商業登記簿謄本の原本又は写し ※相談役・顧問・100 分の 5 以上の個人の株主等は不要 |
法定代理人 | ア 解体工事業登録事項変更届出書(規則様式第 6 号) イ 誓約書(規則様式第 2 号) ウ 登録申請者の調書(規則様式第 4 号) エ 法定代理人の証の写し オ 法定代理人の発行後3か月以内の住民票の原本又は写し |
技術管理者 | ア 解体工事業登録事項変更届出書(規則様式第 6 号) イ 技術管理者の資格要件を確認する書類 ウ 技術管理者の在籍を確認する書類 |
廃業等の日から30日以内に、以下の事由に応じて廃業等の届出をする必要があります。
廃業事由 | 必要書類 |
死亡した場合 | ア 解体工事業廃止等届出書(府規則様式第 4 号) イ 相続人の戸籍謄本の原本又は写し |
法人が合併により消滅した場合 | ア 解体工事業廃止等届出書(府規則様式第 4 号) イ その法人を代表する役員であったことがわかる商業登記簿謄本の原本又は写し |
法人が破産手続開始決定により解散した場合 | ア 解体工事業廃止等届出書(府規則様式第 4 号) イ 破産管財人の印鑑証明書の原本又は写し ウ 当該会社の管財人であることがわかる証明書の写し |
法人が合併又は破産手続開始決定以外の事由により解散した場合 | ア 解体工事業廃止等届出書(府規則様式第 4 号) イ 清算人の印鑑証明書の原本又は写し ウ 当該法人の清算人であることがわかる商業登記簿謄本の原本又は写し |
解体工事業を廃止した場合 | ア 解体工事業廃止等届出書(府規則様式第 4 号) イ 代表以外の役員で届出する場合、その役員個人の印鑑証明書の原本又は写し及び当該法人の役員であることがわかる商業登記簿謄本の原本又は写し |
廃業事由 | 必要書類 |
死亡した場合 | その相続人 |
法人が合併により消滅した場合 | その役員であった者 |
法人が破産手続開始決定により解散した場合 | その破産管財人 |
法人が合併又は破産手続開始決定以外の事由により解散した場合 | その清算人 |
解体工事業を廃止した場合 | 解体工事業者であった個人又は法人の代表する役員 |
解体工事業廃止等届出書 様式
解体工事業者の登録を受けた後、建設業法に基づく「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の許可を受けた場合は、許可を受けた後30日以内に末梢の通知を行う必要があります。
これらの3業種以外の業種の建設業許可を受けた場合は通知する必要はありません。
ただし、解体工事業と建設業とで技術管理者等の重複はできませんので注意が必要です。
ア 建設業許可取得通知書
イ 建設業許可通知書の写し 又は 建設業許可証明書の原本若しくは写し
今回は解体工事業登録について解説いたしました!
解体工事業の登録を受けるためには、欠格要件に該当しておらず、技術管理者を選任する必要があります。
また、必要書類を収集して登録を受ける自治体ごとへの提出が必要です。
新規申請:40,000円~(税抜き)
更新申請:30,000円~(税抜き)
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