施行体制台帳を分かりやすく解説!建設業お役立ち情報

本記事では「施工体制台帳の整備」について解説しております。
施工体制台帳は、建設工事の適正な施工を確保するために定められた義務です。

施行体制台帳とは

施工体制台帳とは、建設業法により請負契約の適正化を図るために作成が義務付けられている書類です。
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者である元請業者は、その工事を施工するに際して締結した下請契約の総額が4,500万円(建築一式工事については7,000万円)以上になる場合、施工体制台帳と施工体系図の作成が義務付けられています。
民間工事については、発注者からの請求に基づき、施工体制台帳を閲覧に供しなければなりません。

公共工事については、入札契約適正化法の規定により、下請契約の額にかかわらず、台帳作成が必要です。
また、作成した台帳の写しは、発注者への提出が義務付けられています。

※建設工事に該当しない資材納入、調査業務、運搬業務、警備業務などの契約金額は含みません。

施工体制台帳はいつ作成する?

施工体制台帳は、民間工事では、その工事を施工するために締結した下請金額の総額が4,500万円(建築一式工事:7,000万円)以上となった時点で作成します。一方、公共工事では、その工事を施工するために下請契約を締結した時点で作成が必要です。

特定建設業許可

発注者から直接工事を請け負い、かつ、4,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円)を下請契約して工事を施工する者に必要となる許可です。


元請として4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の下請契約を締結するには、特定建設業許可が必要です。
ということは、施工体制台帳の作成は特定建設業者に発生すると言い換えられます。(公共工事を除く)

施行体制台帳の記入事項

施工体制台帳は法令で定められている様式はありません。
法令上、記載しなければならない事項が網羅されていれば、様式はどういった形であっても建設業法上、問題ないとされています。
下請負人から提出された再下請通知書等に基づいて作成します。

施行体制台帳の作成例

施工体制台帳には、作成建設業者の許可に関する事項、請け負った建設工事に関する事項、下請負人に関する事項、健康保険等の加入状況、外国人建設就労者の従事の状況等を記載します。

建設業者以外の者で、建設工事の完成を請負っていない資材業者・警備業者等については記載の義務はありません。
発注者より、法令以外の項目も含めて記載・作成するよう指示がされる場合もありますが、その点については発注者とよく協議して作成を進めます。

施行体制台帳の記入例

施行体制台帳の記載対象となる下請負人

施行体制台帳は、無許可業者も含む建設工事の請負契約における全ての下請負人が施工体制台帳の記載対象です。
一次下請だけでなく、二次下請、三次下請等も記載対象となります。

施行体制台帳の添付書類

施行体制台帳に添付する書類は、建設業法施行規則に定められています。

施行体制台帳の保存

施行体制台帳は、工事目的物を発注者に引き渡すまでの間、工事現場ごとに備え付けることが義務付けられています。
その後は一部抜粋したものを5年間保存する必要があります。

施行体制台帳の作成者

施行体制台帳を作成するのは、元請業者である建設業者(元請負人)です。
元請負人は、作成建設業者に該当することとなったとき、遅滞なく、一次下請人に対し、施工体制台帳の作成対象工事である旨の通知を行うとともに、工事現場の見やすい場所にその旨が記載された書面(再下請負通知書の書面案内)を掲示し、施工体制台帳と施工体系図を整備します。

一次下請人は、元請業者である建設業者(元請負人)に対して、再下請負通知書を提出します。
そして、二次下請負人に施工体制台帳の作成対象工事である旨の通知を行います。

元請業者である建設業者(元請負人)は、この提出された再下請負通知書により、又は自ら把握した情報に基づいて施工体制台帳と施工体系図を整備します。

施行体制台帳の関係者への周知

施工体制台帳の作成対象工事である場合、施工体制台帳の作成対象工事であることを工事関係者に周知する必要があります。

通知には「書面通知」と「掲示」があります。

書面通知

掲示

再下請負通知書

施工体制台帳の作成対象工事では、下請負人は、さらにその工事を再下請負した場合、元請負人である特定建設業者に対して「再下請負通知書」を提出しなければなりません。

再下請負通知書の内容は以下となっています。

施工体系図の作成

施工体制台帳の作成対象工事では、各下請負人の施工分担関係が一目で分かるように、「施工体系図」を作成して、掲示しなければなりません。
施工体系図の作成については別の記事で解説したいと思います。

まとめ

施工体制台帳について解説しました。
一定の金額以上を下請けに出す工事を請け負う元請け事業者は様々な義務が生じます。

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