酒類小売業免許を取得後、酒類小売業者等が酒類の販売業務に関して遵守しなければならない事項について解説します。
義務には酒税法上の義務と酒類業組合法上の義務がありますが、今回は酒税法上の義務についての解説です。
目次
酒類小売業免許とは酒類販売業免許のうち、以下の区分をさします。
・一般酒類小売業免許
・通信販売酒類小売業免許
・特殊酒類小売業免許
酒類小売業者は、酒類の仕入や販売について、次の事項を帳簿に記帳する必要があります。
酒類の品目、税率の適用区分別に、仕入数量、仕入価格、仕入年月日、仕入先の住所及び氏名又は名称
酒類の品目、税率の適用区分別に、販売数量、販売価格、販売年月日、販売先の住所及び氏名又は名称
帳簿は販売場に備え付けて、帳簿閉鎖後5年間保存する必要がありますので注意しましょう。
帳簿の記載を怠り、若しくは偽り、又は隠匿した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。なお、酒税法の規定に違反し、これらの刑に処せられた場合、酒類販売業免許等の取消事由となりますので必ず遵守しましょう。
酒類小売業者は、次の事項について申告する必要があります。
「酒類販売業休止・開始申告書」により、遅滞なく申告しなくてはいけません。
※申告を怠った場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられますので申告漏れがないように気を付けましょう。
「酒類の販売数量等報告書」により、翌会計年度の4月末までに提出する必要があります。
「異動申告書」により、直ちに申告する必要があります。
※「販売場の所在地に異動」とは、土地区画整理等による地名や地番の呼称変更をいいます。
※同一の建物内若しくは施設内において販売場を異動する場合については、酒類小売業者により販売場が確実に管理されているときは、申告を省略することができます。
「酒類蔵置所設置・廃止報告書」により、あらかじめ提出する必要があります。
税務署長から報告を求められた場合には、「酒類の販売先等報告書」により、税務署長が別途定める日までに提出する必要があります。
酒類小売業者が、酒類を詰め替えようとする場合には、詰め替えを行う2日前までに「酒類の詰替え届出書」により、所轄税務署長に届け出る必要があります。
届出を怠った者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
酒類小売業者が、樽等の大型容器で仕入れた酒類を、あらかじめ他の小型の容器に小分け等して販売する場合のこをさします。
店頭に置いた樽詰め酒類を客の求めに応じ、客が持参した容器に希望する量だけ詰めて販売する、いわゆる「量り売り」とは異なり、量り売りは届出の必要はありません。
酒類小売業者が、酒類に水又は酒類を混和しようとする場合(新たに酒類を製造したこととなる場合を除きます。)には所轄税務署長の承認を受けなければなりません。
承認を受けずに混和した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
現在、この承認は原則与えられません。
密造酒類とは、免許を受けない者の製造した酒類をいいます。
密輸入酒類とは、輸入の許可を受けない者の輸入した酒類をいいます。
このような密造又は密輸入酒類を所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはいけないことになっています。
違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
酒類を継続的に販売しようとする者は、販売場ごとにその販売場の所在地を所轄する税務署長から販売業免許を受けなければなりません。
ただし、以下の場合は販売業免許を受ける必要はありません。
・酒類製造者がその製造免許を受けた品目の酒類をその製造場において販売する場合
・酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に提供する業を行う場合について
酒類販売業者は、販売場を移転しようとするときは、移転先の販売場の所在地を所轄する税務署長の許可を受けなければなりません。
酒類販売業を廃止しようとするときには、販売場ごとにその販売場の所在地を所轄する税務署長に販売業免許の取消しを申請しなければなりません。
ただし、以下の場合には自然消滅することとなります。
・販売業免許に付された期限が経過した場合
・酒類販売業者が死亡した場合
※相続人が一定の手続をしたときには、その相続人は、被相続人が受けていた販売業免許を受けたものとみなされます。
・法人が合併又は清算結了又は破産手続が終結した場合
販売業免許の強制取消とは、販売業免許を受けた者からの申請によらず、税務署長が酒税法の規定により販売業免許を取り消すことをいいます。
次に掲げる場合のうちいずれかに該当するときは、税務署長は販売業免許を取り消すことができます。
・偽りその他不正の行為により販売業免許を受けた場合
・酒税法第10条第3号・第4号・第5号・第7号・第7号の2・第8号に規定する者に該当することとなった場合
・2年以上引き続き酒類販売業をしない場合
酒類販売業者が死亡した場合において、相続人が引き続き酒類販売業をしようとする場合、遅滞なくその販売場の所在地を所轄する税務署長に申告しなければなりません。
個人で販売業免許を受けた者が主体となって法人を設立(法人の合併、会社分割や営業の承継も含まれます。)し、その法人で酒類販売業を継続しようとする場合には、所轄税務署長に対し改めて免許申請を行い、販売業免許を取得しなければ酒類販売業を継続することができません。
今回は酒税法の酒類小売業免許を取得した後の義務についてまとめました。
酒類業組合法による表示義務は別の記事で解説したいと思います。
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